笑顔の伝え方【応用編】
こんにちは。カチメン表情監修の清水建二です。
前回のコラムでは、気持ちを伝えるのが上手な人と下手な人について解説しました。自分の気持ちを上手に伝えるためには、言葉と表情を一致させ、相手の目を見て話す。そのためには、自分の発する言葉にどんな感情を抱いているのか意識する、頭の中のリストを見て話さない、ということでした。
本日は、笑顔の伝え方【応用編】について解説します。
本題に入る前に、「笑顔の伝え方【基礎編】」について簡単に振り返ります。「あなたの話を好意的に受けとっています」という印象を伝え、「この話、好意的な意味ですよ」というシグナルを伝えるためには、口角を引き上げる。そして、頬も引き上げます。これが笑顔の基本です。練習方法として、口角と頬を引き上げながら、「そうなんですね!」と言う。興味関心、熱意・真剣、真顔のときとは、それぞれ印象が異なります。
さて、【応用編】では、長めのセリフを用いて、笑顔の伝え方について解説・練習します。
表情の動かし方に意識を絞るため、このコラムではお馴染みの場面とセリフです。
面接官に「仕事をする上で大切だと思うことは何ですか」と質問される場面を想像して下さい。あなたの返答は次の通りとします。
「共感力だと思います。居酒屋でアルバイトをしていたときのことです。満席のため、予約なしで来店されたお客様に入店をお断りしなくてはいけないことがありました。そのとき、残念そうなお客様の気持ちが凄く伝わって来たのです。そこで、私は、お客様のその気持ちが少しでも解消できないかと思い、「すみません。ただいま満席です」という必要十分な言葉だけでなく、予約のしやすい曜日や予約なしでも入りやすい時間帯をお伝えさせて頂きました。それでもお客様は残念そうなお顔でしたが、少し微笑んで、「じゃあ、また来るよ」とおっしゃって頂けました。数日後、そのときのお客様が、「今度は予約して来ましたよ」と嬉しそうなお顔で来店されました。急いで別の店を探そうとしているお客様だったら、必要十分な言葉を伝えればよかったと思います。しかし、「このお店で食事を楽しめず残念だ」と思っていた可能性のあるお客様には、その気持ちを汲む、お客様の希望が実現できるような言葉を伝えられたのが正解だったと思っています。「相手の立場に立って考える」という言葉をよく聞きますが、この体験から「本当にそうなんだな」と心から実感し、大切にしていきたいと思うようになりました」。
どの部分を、「この話、好意的な意味ですよ」と面接官に伝えたいですか?
だんだんお馴染みの解説となって来ましたが、興味関心、熱意・真剣度同様、究極的にはあなたの気持ち次第ですので、確定した答えはありません。しかし、言動一致という原則から、ポジティブな言葉(ポジティブな状況描写含む)を発するときに笑顔になることは大切です。太字になっている単語・フレーズを、口角と頬を引き上げながら言うとよいでしょう。
まず、「共感力だと思います」です。これは、面接官の質問に対する回答ですので、重視したいポイントです。笑顔を伝えるポイントです。興味関心でも、熱意・真剣度でも同じ解説をしました。つまり、質問の回答に、どんな気持ちを込めて伝えたいか、ということです。「予約のしやすい曜日や予約なしでも入りやすい時間帯をお伝えさせて頂きました」「相手の立場に立って考える」の部分も同様です。興味関心や熱意・真剣でもよいのですが、ポジティブな情報を発信したことを特にアピールしたい場合、笑顔で伝える方がよいでしょう。
「少し微笑んで、「じゃあ、また来るよ」とおっしゃって頂けました」「嬉しそうなお顔で来店されました」「その気持ちを汲む、お客様の希望が実現できるような言葉を伝えられたのが正解だったと思っています」「『本当にそうなんだな』と心から実感し、大切にしていきたいと思うようになりました」は、ポジティブな言葉だけでなく、ポジティブな状況・帰結をアピールしたい場合、笑顔で伝えるのがよいでしょう。
太字になっている部分が、興味関心や熱意・真剣度より長いのは、1~2秒眉を引き上げる興味関心、3~4秒眉を引き下げる熱意・真剣に比べ、口角と頬を引き上げる笑顔は、4~5秒続くことが普通だからです。
また、ここまで読んで来て、「興味関心、熱意・真剣度、笑顔単体ではなく、それぞれを組み合わせて気持ちを伝えたい場合はどうしたらよいの?」という疑問を抱くかも知れません。
原則は、興味関心+笑顔はOK、熱意・真剣+笑顔はNGです。
眉を引き上げ、同時に、口角と頬を引き上げる。興味関心と笑顔を同時に伝えられることが出来ます。この組み合わせを今回の練習中に自然に生じさせていた就活生もいたでしょう。それくらい、この組み合わせは、よくあり、相性もよいのです。
しかし、眉を引き下げ、同時に、口角と頬を引き上げるのは、NGです。熱意・真剣と笑顔は、ほとんどの場合、矛盾したメッセージとなり、相容れない感情だからです。
それでは、実際にセリフを口にしながら、特定の単語・フレーズ部分で口角と頬を引き上げてみましょう。何度も何度も自然に動かせるように練習しましょう。口角と頬を引き上げる頻度が多いと思われる場合は、各自、臨機応変に調整して下さい。
慣れて来たら、あなたが面接用に準備しているセリフを用いて、同様のことをしてみましょう。
ではでは、練習頑張って下さい。次回は、自分なりの意見の作り方について解説したいと思います。