面接官が「長所と短所」を聞く理由と、その対策について
某コンサル会社最年少役員でカチメン!就活コラム担当のなかぴーです。
弊社の新卒採用責任者としても活動しており、
中途、新卒どちらの面接も数多く行ってきております。
そんな私の立場から、今回は多くの面接で聞かれる「長所と短所」について、
どのように回答を組み立てて行くべきか、お伝えしていきたいと思います。
回答を組み立てるにあたって、面接者がなぜ「長所と短所」を聞きたがるのか理解する必要があります。
◆質問の背景、意図
「長所と短所」を聞く背景として、
・周囲の人と協力して、上手くチームワークを発揮できるか
・自分ひとりでできること以上の高い目標に取り組んだ経験があるか
を確認したいという意図があります。
一見するとこの質問は、
その会社の具体的な仕事内容に対して、自分の長所がどのように活かせるのかアピールするもの、
そして短所に関しては、自己分析をした上で自分の苦手なものに向き合えているかを確認していると捉えやすいかと思います。
しかしながら、実際は会社という組織に入った時に周囲の人と上手く協調して、貢献することができるかを確認されていることが多いと考えます。仮に具体的な仕事内容に対して長所がマッチしているのか確認したいのであれば、実際にその仕事に似たテストを行ってしまった方が高い精度で能力を測れるはずです。
多くの企業かそのようなテストではなく、あえて面接で聞いているのは、会社という組織において高い目標を持ちつつ、周囲の人々と協力関係を築いて目標達成に向けて共に歩める人かどうか見極めるためです。
◆回答の中に含まれていて欲しい要素
中途や新卒に関わらず、多くの方々の回答では、短所として挙げられる事例が弱く、自己分析が甘いなと感じるものであったり、
ただ単にやりたくない仕事を挙げてしまっている(人と話すのが苦手だから営業はやりたくない等)ものが散見されます。
質問の意図を汲み取って、必要な要素を入れ込んでエピソードを構成しないと上手く切り返せない質問となっていますので、
以下の内容を参考にご自身のエピソードを組み立ててみてください。
質問の意図から要素分解して箇条書きにすると、
回答の中には以下の要素が含まれていて欲しいです。
・高い目標に向かって挑戦しようとしたこと
・その目標の達成に向かって長所が活かされた経験
・高い目標に向かう道中で、組織内の誰かと軋轢が生まれた経験
・自身の歩み寄りにより、その軋轢を乗り越えた経験
・その経験から得られた自身の短所に対する考察と、対策
この時に一点注意していただきたいのが、長所と短所で挙げられる要素が大きく括られすぎていないかという点です。
例えば、「人と話すことが苦手です」という人が居たとして、そこで安直に「人と話すことは誰かに任せたい」という結論を導いてしまう人は少なくないです。
人と話すといっても、友達として自分のことを自己開示するようなコミュニケーションもあれば、相手が求めている情報をお伝えするようなもの、相手の困りごとを把握するために聞き出すようなもの等、様々な種類があります。
実は私も学生時代は初対面の人と話すことには苦手意識を持っており、「相手にどう思われているんだろう?」と気にしてしまって上手く話せないことがありました。
しかし、実際に仕事をしてみると、物事を進めるために必要な事柄について要点をまとめて伝えることや、相手が気にしているポイントを察して話を展開すること等、
意外にも仕事上のコミュニケーションであれば人よりもパフォーマンスが出せることがわかりました。
安直に好き嫌いで判別せず、「なぜ苦手なのか」、「何が嫌いなのか」等、深掘ることによって細かく分解した上で長所と短所の仕分けをしていきましょう。
◆回答例
私の長所は「粘り強さ」です。
「100名以上集客できる学生イベントを企画したい」と、数人の友人と共にイベントの企画を行なっていました。しかし、知名度もノウハウもがないがゆえに最初の方は開催しても集客が上手くいかず、イベントの会場費等を支払うと赤字になってしまう状況が続きました。次第に主催メンバーの士気が落ちていってしまい、イベントをやめたいと口にするメンバーも現れてしまいました。「みんなで成功させて100人呼べた達成感を味わおう。今後の自信にも繋がるから」と説得し、どうにか辞めてしまいそうなメンバーを引き留めました。その際に、どうしても会場代の費用負担が難しいというメンバーがいたため、会場代の負担と利益が残った場合の配分率のバランスを調整し、妥協点を探るということも行い、解散の難を逃れることができました。
解散は免れたものの、すぐに状況が好転することはありませんでした。それでも開催を続けた結果、なんとか開催4回目で100人を達成することができました。
1人で粘り強くコツコツできるだけでなく、粘り強くチームを引っ張れることが私の長所だと考えています。
一方、
「自分の意志を強く通してしまいがちなところ」は私の短所だと認識しています。
自分が決めたことを曲げることが昔から苦手で、部活でキャプテンを務めていた際にメンバーと衝突する等、失敗をよくしていました。イベント主催を行った際にチームが崩壊しなかったのは、単に粘り強く説得するだけでなく、辞めたいと考えている理由を聞き出し、相手との妥協点を探ることが出来たからだと考えています。
これができるようになったのは、
高校時代に初めて自分と同じくらい意志が強い人と意見が衝突して、埒があかないと感じたことがきっかけです。自分の意志を押し通し続けるのには限界があること、双方がそれで良い思いをすることはないことを理解し、今では率先して妥協点を探すように自分でも心掛けています。
それでもまとまらないこともあるので、最近では、「まぁまぁ」とヒートアップする自分を抑えてくれる仲間をチーム内に持つようにもしています。
以上
今回は実際に弊社に新卒入社したメンバーのエピソードを回答例として挙げさせていただきました。
「長所と短所に関する質問は、組織作りの観点で質問されているんだ」という認識を持っていただいて、
人と協力して目標に向けて努力した経験、その中での成功体験、失敗体験を振り返って話せるように、
準備を進めていただけましたら幸いです。
自分の学生時代のエピソードを振り返りながら回答例を記載してみました。
ここまで読んでくださった皆様もぜひ、ご自身の経験を振り返って、
「面接官の気にするポイント」に沿ったガクチカのエピソードが話せるように準備してみてください。