熱意・真剣度の伝え方【応用編】
こんにちは。カチメン表情監修の清水建二です。
前回のコラムでは、「興味関心の伝え方【応用編】」について解説しました。面接官の質問に回答するときや場面が展開するとき、眉を引き上げることで長いセリフの中でも効果的に興味関心を伝えられる、ということでした。
本日は、熱意・真剣度の伝え方【応用編】について解説します。
本題に入る前に、「熱意・真剣度の伝え方【基本編】」について簡単に振り返りましょう。「あなたの話は、熟考に値するほど、熱意を持って真剣に聞く価値があると思っています」という印象を伝え、「この話、熱意・真剣を抱くポイントですよ」というシグナルを伝えるためには、眉を引き下げる。これが基本です。練習方法として、眉を引き下げながら、「そうなんですね!」と言う。真顔のときとは、全く印象が異なることを実感すると思います。
さて、【応用編】では、長めのセリフを用いて、熱意・真剣度の伝え方について解説・練習します。
表情の動かし方に意識を絞るため、前回の興味関心と同じ場面・セリフです。
面接官に「仕事をする上で大切だと思うことは何ですか」と質問される場面を想像して下さい。あなたの返答は次の通りとします。
「共感力だと思います。居酒屋でアルバイトをしていたときのことです。満席のため、予約なしで来店されたお客様に入店をお断りしなくてはいけないことがありました。そのとき、残念そうなお客様の気持ちが凄く伝わって来たのです。そこで、私は、お客様のその気持ちが少しでも解消できないかと思い、「すみません。ただいま満席です」という必要十分な言葉だけでなく、予約のしやすい曜日や予約なしでも入りやすい時間帯をお伝えさせて頂きました。それでもお客様は残念そうなお顔でしたが、少し微笑んで、「じゃあ、また来るよ」とおっしゃって頂けました。数日後、そのときのお客様が、「今度は予約して来ましたよ」と嬉しそうなお顔で来店されました。急いで別の店を探そうとしているお客様だったら、必要十分な言葉を伝えればよかったと思います。しかし、「このお店で食事を楽しめず残念だ」と思っていた可能性のあるお客様には、その気持ちを汲む、お客様の希望が実現できるような言葉を伝えられたのが正解だったと思っています。「相手の立場に立って考える」という言葉をよく聞きますが、この体験から「本当にそうなんだな」と心から実感し、大切にしていきたいと思うようになりました」。
どの部分を、「この話、熱意・真剣を抱くポイントですよ」と面接官に伝えたいですか?
興味関心同様、究極的にはあなたの気持ち次第ですので、確定した答えはありません。しかしながら、方向性を示した方が、応用したり、練習したりしやすいと思いますので、取り敢えずの正解を示します。
太字になっている単語・フレーズを、眉を引き下げながら言いましょう。
順番が前後しますが、まず、「凄く伝わって来たのです」です。眉を引き下げると声と身体に力がこもります。このフレーズを、眉を引き下げ言うことで、お客様の気持ちを身体全体で受け止めている印象を伝えられるでしょう。力を込めて伝えたいメッセージは、眉を引き下げる、です。
次に、「共感力」です。これは、面接官の質問に対する回答ですので、重視したいポイントです。真剣・熱意を伝えるポイントです。興味関心でも同じ解説をしました。つまり、質問の回答に、興味関心で伝えたいのか、熱意・真剣で伝えたいか、ということなのです。
ただ、眉を引き下げる熱意・真剣表情は、それを向けられた相手の心に「相手の話を慎重に聞こう」という気持ちを喚起させます。したがって、注意深く聞いて欲しいという気持ちが強ければ、真剣・熱意表情をするとよいです。例えば、ここまでの面接プロセスの中で、「空気を読まない方が、革新的なアイディアが生まれる可能性が高いと思うので、鈍感力は大切ですよね」というような話をしてきた中で、これとは反対の話、あるいは、反対の意味に捉えられ得る話をする場合です。「ここまでの流れと変わります(変わるように思えるかも知れません)ので、慎重に聞いて下さい」というメッセージとなります。
さて、わかりやすいのが、「それでもお客様は残念そうなお顔でしたが」「しかし」というフレーズです。逆説の接続語や逆説が使われている文は、眉を引き下げながら言うのが適当です。
メッセージのキーワードとなる単語・フレーズである、「予約のしやすい曜日」「予約なしでも入りやすい時間帯」「その気持ちを汲む」「希望が実現できるような言葉」「相手の立場に立って考える」「本当にそうなんだな」「心から実感し」「大切にしていきたい」についても、先の「共感力」の伝え方と同じです。これまでの流れと異なる(異なるように思われる可能性がある)、あるいは、特段の事情があって慎重を期す、こうした場合は、真剣・熱意表情で伝えるとよいでしょう。
それでは、実際にセリフを口にしながら、特定の単語・フレーズ部分で眉を引き下げてみましょう。何度も何度も自然に動かせるように練習しましょう。眉を引き下げる頻度が多いと思われる場合は、各自、臨機応変に調整して下さい。
慣れて来たら、あなたが面接用に準備しているセリフを用いて、同様のことをしてみましょう。
ではでは、練習頑張って下さい。次回は、気持ちを伝えるのが上手な人と下手な人について解説したいと思います。