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就活コラム

表情フィードバックを活かした感情の育み方

こんにちは。カチメン表情監修の清水建二です。

前回のコラムでは、眉を引き下げる動きについて解説しました。眉を引き下げることで、「あなたの話は、熟考に値するほど、熱意を持って真剣に聞く価値があると思っています」という印象を伝え、「この話、熱意・真剣を抱いているポイントですよ」というシグナルを伝えることが出来る、ということでした。

本日は、感情の育み方について解説します。本コラムでは、表情の作り方についてどんどん紹介・解説していきますが、2回のコラムを読まれた段階で、「自分の本当の気持ちがないのに表情を作るなんて、なんかウソをついているみたいで嫌だな」そんなことを思っている方もいるかも知れません。

返答その1。表情も一つの礼儀です。接客場面でニコリともしない接客係、朝の挨拶を真顔で言う人、眉一つ動かさない固い表情で自己紹介をする人…そんな人がいたら、暗いです。言葉で伝える情報だけでは不十分です。言葉を表情の器に乗せて発する。言葉に質感が生まれ、相手の存在に礼を尽くすコミュニケーションとなります。

愛想笑いは、一見、マイナスなイメージで捉えられがちですが、それは違います。なぜなら、心から楽しいと思っていないのに、意識して、労力をかけて、笑顔を作るのです。相手がいなければ、笑顔はないのです。相手がいるから笑顔を作る。相手の存在に敬意を払っているからこそなのです。愛想笑いは、優しさとも言えます。

返答その2。本当の気持ちを醸成したらよいのではないでしょうか。礼儀としての表情も重要ですが、自分の本当の気持ちももちろん重要です。

私たちの表情には、驚くべき仕組みが備わっています。楽しいから笑う。悲しいから泣く。当然、そうなのですが、なんと、逆もある。笑うから楽しくなり、泣くから悲しくなる。専門的には、「表情フィードバック」と呼ばれている現象です。

子ども表情

この現象を最初に確かめたのは、ドイツの心理学者、フリッツ・ストラック博士らです。実験参加者に、ペンを歯、あるいは唇に挟みながら、漫画を見てもらいます。ペンを歯に挟むと口角が引き上げられ、笑顔になります。唇に挟むと口角が引き上げられず、笑顔が抑制されます。実験の結果、ペンを歯に挟んだ参加者は、唇に挟んだ参加者に比べ、漫画を楽しいと評価したのです。この表情フィードバックの効果は、幸福感情以外でも検証されています 。例えば、uの音が多く含まれた物語を読む人は、uの音が含まれない物語を読む人に比べ、悪い気分になることがわかっています。「u(ユウ、ウー)」と発音すると、口がすぼめられます。これはネガティブな表情をするときに動く表情の一つです。さらに、eの音を繰り返し発音する人は、uの音を繰り返し発音する人に比べ、楽しいと感じる傾向にあることが知られています。e(イー)と発音してみて下さい。口角が引き上げられ、笑顔になります。

さらに、スポーツ選手が気合を入れた瞬間の顔を見せ、その表情のマネをすると、物理的な痛みを受けても耐えることが出来、集中力が高まる、そんな研究知見も得られています。形を整えることで、形に合った感情が生まれる。感情が生まれることで、感情に合った身体になるのです。

前回、前々回のコラムを思い出して下さい。眉を上げ下げする練習をしました。眉を上げ、興味関心を伝え眉を下げ、熱意・真剣を伝える。自分自身にとって、興味関心や熱意・真剣を伝えたいポイントはどこでしょうか?そのポイントとなる単語やフレーズを発するとき、眉を動かすのです。もともとあった興味関心、熱意・真剣がより大きくなります。表情が感情の呼び水となるのです。

興味関心、熱意・真剣を伝えたいポイントがない場合は?よく探して下さい。自己アピールや将来の夢を語る中で、どのポイントを強調したいか。どのポイントを話すとき、心が躍るか。よく探しても、本当になければ、今、自身が用意している自己アピールは偽物ですので、再考しましょう。よくよく考え、心が動く瞬間、眉を動かしてみるのです。小さかった感情の波が大きなうねりとなり、躍動感を持つでしょう。

ところで、セリフを入れながら眉の上げ下げをしていて、何か気づいたことはありませんか?眉を引き上げながら、「そうなんですね!」と言うときと、眉を引き下げながら、「そうなんですね!」と言う。声の調子が変わると思います。眉を引き上げたときは、声は高く、眉を引き上げたときは、低くなったと思います。表情フィードバックは、身体の様々な場所に波及するのです。興味関心、熱意・真剣を意味する表情だけではありません。あらゆる表情に表情フィードバックを当てはめることで、感情が育まれ、練習する中で、醸成され、次第に明確な形となります。頑張って練習してみて下さい。応援しています。

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