ここで、怒り感情について冷静に考えます。
怒りのニーズは、「目的到達を阻む壁、障害を破壊したい」です。このニーズが満たされれば、怒りはなくなります。
ここでの目的は、「待ち合わせ場所に時間通りに到着する」です。壁は、アクシデントそのものかそれを処理する鉄道職員さん。
あなたが怒り感情を抱いたところで、この壁はなくなるでしょうか?
あなたの怒りは、状況を改善させるでしょうか?
もちろん、無理です。
そうであったなら、怒りに心を乱されている理由はなくなります。
約束している相手にリスケジュールを申し出れば済みます。あなたの責任ではないため、仕方のないことです。
こうすることで怒りの気持ちから離れ、電車の中で待つ間、考え事をしたり、本を読んだりし、時間を有意義に使うことが出来ます。
怒りに心を奪われていれば、こうした時間の使い方は出来ません。
また、私たちは、怒りを抱いたままだと、その怒りは、慣性の法則のように気づかぬうちに心の中を進み続け、怒りのはけ口を、無関係な人やモノに向けてしまうことがあります。
事実、怒りや嫌悪感情を抱いていると、平常な感情のときと比べ、自己利益のためのウソをついたり、ズルをしたりする、そんな心性・行動をしてしまう傾向を私たちは持ってしまうことが諸研究からわかっています。
大切なことは、「常に、ポジティブ感情でいるべきであり、ネガティブ感情を抱くべきではない」ということではなく、「感情のニーズを知り、活かす」という姿勢です。
自分を、ポジティブ感情、笑顔にしてくれる人やモノや環境は何か?
自然に笑顔でいられるのか、ある程度の努力が必要なのか、しんどくなってしまうレベルなのか?自身の心に耳を傾けて欲しいのです。しんどいならば、環境を変えるのも一つの手段です。
自分をネガティブ感情にするのは何か?
適切に原因を見つめられないと、その感情が必要なものなのかそうでないのかわかりません。
不正義に気づき、立ち向かうためには、ネガティブ感情は必要です。
一方、不必要なネガティブ感情は、あなたの心と周りの人に悪影響を及ぼすでしょう。
怒り感情を抱いたならば、怒りの対象がどこかを冷静に見つめ、怒りを関係のないところへ波及させないようにする。
職場が嫌悪感情を引き起こすような清潔でない場所なら、清潔に整える。
感情の影響を知っていれば、こうした工夫が出来、自身の精神だけでなく、人間関係を豊かにすることが出来るでしょう。
本コラムを呼び水に、さらなる感情と表情の世界を、自身の視点と体験から覗いてみて欲しいと思います。
さぁ、社会人人生のはじまりはすぐそこです。
ではでは、練習頑張って下さい。