『最後の鑑定人』表情監修者が解説:ドラマから学ぶ、ネガティブな意見をどう伝える?
こんにちは。カチメン!表情監修の清水建二です。
本日のコラムでは、就活生・転職者に楽しみながらノンバーバル(表情やしぐさ等の非言語)について学んでいただけるよう、ドラマを題材にし、就活・転職で役立つ「ネガティブな意見を表現する方法」を解説したいと思います。
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現在フジテレビ系列で放送中のドラマ『最後の鑑定人』は、元科捜研の経歴を持ち、卓越した鑑定スキルを誇る主人公・土門誠(藤木直人さん)と、彼の鑑定所に所属する心理学の専門家・高倉柊子(白石麻衣さん)が、科学的手法を駆使して複雑な事件の真相に迫っていくサイエンスミステリーです。
高倉は、人の表情やしぐさから隠された嘘を見抜く能力に長けており、私、清水は、劇中で描かれる俳優さんたちの表情や所作、セリフに科学的根拠に基づいたリアリティを持たせるため、専門家監修として関わっています。
コラムで解説するシーン |
今回、注目したいのは、門鑑定所を訪れる様々な客に高倉が特製の「激マズ」ハーブ水でもてなすシーン。
ドラマの各話で登場します。
例えば、第一話では、土間たちのもとに鑑定依頼をしに来た都丸刑事(中沢元紀さん)が、ハーブ水を飲むシーンがあります。
高倉:「どうぞ。特製のハーブ水です」 水を一口飲み、あまりの苦さに嫌悪表情を浮かべる都丸。 都丸:「(思わず)マズ!」 |
第二話では、鑑定所に被告人の弁護事項を立証できるか相談に訪れた相田弁護士(迫田孝也さん)が、ハーブ水を飲むシーンがあります。
机上に置かれた高倉特製ハーブ水を飲む相田。
相田:「まずい!何これ!」
高倉は、この「激マズ」ハーブ水を飲んだ反応から客の性格を推測します。
こんなハーブ水を出されたら、皆さんならどんな反応をするでしょうか。 |
とはいえ、「激マズ」ハーブ水でもてなされることは、そうそうないでしょう。
しかし、懇談会などで自分に合わない飲食物を口にしたり、面接やディスカッションでネガティブな意見を持つような場面はあると思います。
そんなとき、自身のネガティブな気持ちを、ネガティブな表情を伴いストレートに伝えた方がよいのか。
あるいは、ネガティブ表情が顔に出ないように抑えて伝えた方がよいのでしょうか。
※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。
ネガティブ表情でストレートに伝えるか(参考:左の写真は嫌悪表情)?
ネガティブ表情を抑えて伝えるべきか(参考:右の写真は愛想笑い)?
心理学者グウォヴァツキらの最新研究(2025年)をヒントに考えてみましょう。
グウォヴァツキらは、私たちが「嫌悪」を感じたときにどのような表情を見せ、その表情が他者からどう評価されるかを調べています。
非常に苦い飲み物を飲み、その反応として嫌悪のマクロ表情(はっきり現れる表情)、あるいは、微表情(抑制された感情の漏洩として一瞬だけ現れる表情)を現わしたアメリカ人らの映像を第三者のアメリカ人らに評価してもらいました。
評価の結果、微表情で嫌悪を見せた人は「感情を隠した」「計算高い」と受け取られ、マクロ表情の人よりも誠実さや信頼性が低く評価される傾向にあることがわかりました。
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ドラマのシーンと研究から学べること |
この研究結果から、いつでも、どんなときでも、「ネガティブな感情をわかりやすい嫌悪表情で表明すべき」とは言えません。
しかし、表情を現わしているのも評価しているのもアメリカ人であることから、「自身の意見を表明することが誠実である」という文化圏や、こうした価値観を大切にする社風、「当然にネガティブな意見を表明すべきである」という状況ならば、嫌悪感情をわかりやすい表情で表明することは、対人評価の場面でプラスに働くと考えられます。
異なる文化出身が集まる企業では、ポジティブにせよ、ネガティブにせよ、わかりやすい振る舞いが求められる場面があるでしょう。
また、カスタマーハラスメントが問題になっている今日、問題を起こすお客様に毅然とした態度で注意や警告を与えられる人物がもっと求められるかも知れません。
本ドラマは、上記で紹介したシーン以外にも様々な表情、しぐさ、心理推測をする過程が登場しています。
ミステリーとしてワクワクドキドキ楽しめるのはもちろんですが、表情やしぐさに注目することで自他のノンバーバル、振る舞いの影響力に意識的になることが出来るようになるでしょう。
是非、楽しみながら学んでみて下さい。
ではでは、実践を重ねて下さい。