こんにちは。カチメン!表情監修の清水建二です。
これまで様々なケースや研究知見を通じて、就職・転職面接において表情で表現することの重要性を紹介してきました。
今回は、これまで紹介してきたことに新しい研究知見も取り入れつつ、その重要性について改めて考えたいと思います。
最初に問題です。
問題:
採用面接の場で①~⑤の求職者がそれぞれの表情で「この仕事は私に任せて下さい」と言っているとします。
あなたが面接官ならどの求職者に「仕事を任せたい」と思いますか?
解説:
まずは、それぞれの表情をおさらいしましょう。
①何の表情の動きもありません。真顔です。
②口角と頬が引き上げられています。笑顔です。
③眉が引き下げられながら中央に寄っています。熱意・真剣です。
④眉が引き上げられています。興味関心です。
⑤眉の内側が引き上げられています。悲しみです。
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どの表情が「仕事を任せたい」と思えるか? |
これまでのコラムを読んでいればわかるはず。①の真顔以外が正解となり得ます。
1,000人超・2,700件超の会話データを用いた大規模分析の知見によれば(Kavanaghら, 2024)、笑顔に限らず、表情をよく動かす人は、動かさない人に比べ、好印象を抱かれやすく、初対面では「感じがよい」「意図が伝わりそう・読みやすそう」と評価されることがわかっています。
私たちは、表情を感情、意欲、意図、潜在的な行動等を伝えるコミュニケーションツールだと考えています。真顔は、それらがない、あるいは、伝える気がない。
求職の文脈で解釈すると、コミュニケーションしづらい、仕事に無関心、対人配慮がない、仕事を求めていない、ととらえかねられません。冷たい印象につながることもあります。
真顔に比べれば、②笑顔、③熱意・真剣、④興味関心、⑤悲しみは表情が動いているので、コミュニケーションをしようとする気が感じられます。
では、どの表情が効果的か。それは状況次第です。
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原則は、セリフと表情の一致 |
原則は、セリフに含まれる感情やメッセージ性と表情が一致していることです。
ポジティブなセリフにはポジティブな表情で、ネガティブなセリフにはネガティブな表情で伝えることが大切です。
これらがあべこべになってしまう、例えば、ポジティブなセリフをネガティブな表情で発信してしまうと、表情のメッセージ性が優先され、ネガティブな印象を与えてしまいます(cf. メラビアンの法則)。
例えば、「頑張ります!」というセリフを不安な表情で言えば、面接官は、求職者に「自信のなさ」を感じ取ってしまいます。
「この仕事は私に任せて下さい」は、ポジティブなセリフですので、ポジティブな表情の代表格、②の笑顔がオーソドックスです。
笑顔は言うまでもなく、好印象を与え、対人コミュニケーションの様々な場面で有用です。
原則と書きましたが、自身の発するセリフに特別な意味がある場合やそのセリフを発する状況を鑑みる必要がある場合は、セリフと表情の原則的な一致を離れ、様々な表情で自身の気持ちを表明することが大切です。
例えば、③熱意・真剣は、慎重さや精密さが必要とされる仕事について「任せて下さい」と言及しようとしているならば、あり、というか、むしろ、笑顔より適切です。
④興味関心は、厳粛な感じで面接が淡々と続き、笑顔を見せるのがはばかられるものの、やる気を示したい。
あるいは、このセリフを強調したいときなどに良いでしょう。
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表情は他者に行動変容を促す |
⑤の悲しみは、通常ネガティブに分類される表情です。
しかし、悲しみ表情が効果的な場合があります。それは、どうしても「この仕事がしたい!」「お願いします!」「助けて下さい!!」という切実な想いがあるときです。
悲しみ表情は、目にする者の心に共感を喚起させ、援助行動を促すことが知られています。
例えば、『最後の鑑定人』表情監修者が解説:相手に共感してもらえる表情とは?――ドラマから学ぶノンバーバル読解・表現法では、悲しみ表情が寄付額の増加につながることを紹介しました。
自分の表情を意識することはなぜ大切か。
一、真顔は無関心、配慮がない、冷たい印象を与える。
二、豊かな表情は好印象を抱かれる。
三、表情は他者にこちらが求める行動を促す。
表情をどうつくればよいのか。
一、原則、セリフと表情を一致させる。
二、自分の想いを表情で伝える。
本心と裏腹の感情があると、表情がぎこちなくなってしまったり、微表情に本心が漏洩してしまったりします(嫌悪表情だとしても、微表情だと好感度が下がり、わかりやすい嫌悪だと好感度が上がるという知見を紹介した、『最後の鑑定人』表情監修者が解説:ネガティブな意見をどう伝える?――ドラマから学ぶノンバーバル読解・表現法も参照して下さい)。
ですので、あくまでも自分の本当の気持ちをベースにして下さい。
本当の気持ちを面接官に誤解なく明瞭に届けられるよう、トレーニングを通じて、その気持ちを大きく育てていくイメージです。
ではでは、実践を重ねて下さい。
参考文献:Kavanagh, E., Whitehouse, J., & Waller, B. M. (2024). Being facially expressive is socially advantageous. Scientific reports, 14(1), 12798. https://doi.org/10.1038/s41598-024-62902-6