こんにちは。カチメン!表情監修の清水建二です。
前回のコラムでは、面接官にウソがばれるのか否かについて解説しました。ほぼウソはばれないものの、「ウソをついていると誤解される動作があるので注意しよう」「面接をウソで乗り越えたとしても後悔することになるかも」ということでした。
本日は、「表情のクセあれこれー表情のクセを知り、好印象を伝えられるようにしよう」をテーマに書かせて頂こうと思います。これまでのコラムを通じて、表情及び感情のつくり方の基本は、理解あるいはマスターされたかと思います。本日は、この基本に微調整を加え、好印象の表情をさらに完璧にする表情つくりの方法を解説します。
私たちは共通の表情筋を持ち、幸福な感情を抱けば、同じ表情筋の動きを伴い、幸福表情を生じさせます。しかし、人によっては、表情筋の動きに特異なクセが生じることがあります。このクセが、ネガティブな表情に似ていることがあり、幸福表情がストレートに伝わらないことがあるのです。
よくあるクセは次の通りです。
よくあるクセ、その一。笑顔になるとき、鼻の周りにしわが出来る。
鼻の周りに生じるしわは、嫌悪表情に特徴的な動きです。つまり、笑顔+鼻の周りのしわは、幸福感情と嫌悪感情が混合しているように見えてしまうのです。一方、某女性アイドルで、笑うとき、この笑顔+鼻の周りのしわの表情をする方がいます。しかし、ファンからはチャームポイントとして認識されているようです。嫌悪には映らない。なぜでしょうか?
それは、そのアイドルがファンからよく見られているからです。「彼女が笑うときは、こういうクセを持っているのだ」という共通認識が出来上がっているからだと考えられます。ですので、マイナスな印象を与えないのです。
しかし、面接の中の短い時間で、面接官がこのクセに気づいてくれるかどうかはわかりません。ですので、もし笑顔になるときに鼻の周りにしわを寄せてしまう人は、このクセが出ないように気をつけて欲しいのです。
鼻の周りにしわを寄せてみて下さい。この感覚を覚え、笑顔になるとき、この部分を動かさないようにする。シンプルな方法ですが、クセになってしまっている人は、意識しないと難しいかも知れません。練習あるのみです。
よくあるクセ、その二。笑顔になるとき、左右非対称に口角が上がる。
左右非対称の口角。正確には、片方の口角が引き上げられる表情ですが、これは軽蔑表情に特徴的な動きです。笑顔+左右非対称の口角は、幸福感情と軽蔑感情が混合しているように見えてしまうのです。軽蔑感情とは、優越感を含むのですが、良いか悪いか、幸福+優越感の混合は、感情的にも相性がよく、他者を見下すときに生じる感情・表情なのです。面接で見せる表情として、適切な場面を想像することが難しいです。
また、こうしたクセを持っていないとしても、無理に笑顔をつくろうとすると、左右非対称に口角が上がってしまうことが時々ありますので、左右対称に口角が動くように練習し、この動きを表情筋にしみ込ませることが大切です。
鼻の周りのしわにせよ、非対称な口角にせよ、笑顔に加わるこうした微妙な表情の違いを、面接官は気づくものなの? という疑問が生じるかも知れません。
微表情という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
抑制された感情が無意識のうちに顔に漏洩するとき、微細な表情筋の動きとして生じます。これを微表情といいます。顔の一部にしか表れないこともあり、また、0.5秒ほどしか続かない場合もあります。したがって、訓練されていない目では捉えることは出来ません。
しかし、「今、○○の微表情があった」と気づくことが出来なくても、「何となく変だな」というレベルで微表情に反応している可能性はあります。例えば、実験参加者の目の前にモニターを置き、微表情を映し出し、どんな微表情が生じていたか参加者に問う、という実験があります。このとき、参加者の生体反応(皮膚コンダクタンス:発汗反応)も計測しておきます。実験の結果、参加者は、モニターに映し出された微表情を特定することは出来ませんでした。しかし、参加者の生理反応はネガティブな微表情を見ていたときに高まり、印象形成に影響を及ぼすことがわかりました。
ですので、ちょっとした表情の違いが、面接官の印象形成に影響を与え得る、ということなのです。あまり、気にし過ぎてもよくありませんが、就職活動を機に、自分のクセに気を配ることも大切だと思います。
ではでは、練習頑張って下さい。