某コンサル会社最年少役員でカチメン!就活コラム担当のなかぴーです。
弊社の新卒採用責任者としても活動しており、 中途、新卒どちらの面接も数多く行ってきております。
そんな私の立場から、今回は多くの面接で聞かれる「志望動機」について、 どのように回答を組み立てて行くべきか、お伝えしていきたいと思います。
志望動機に関しては、どの企業を受ける時にも必ず聞かれる質問で、 読者の皆さんも特にしっかりと準備をして臨む質問の一つなのではないでしょうか?
誰もがしっかりと準備をする質問だからこそ、他の学生と差をつけるための工夫が必要となります。
今回は、私たちコンサルタントが新たなクライアントと仕事をする際に事前準備として行う企業調査の内容をベースに、
学生の皆さん向けに簡素化した企業調査の方法をご紹介しようと考えております。少し長い内容になってしまいますので、2回に分けてお伝えしていきます。
今回は企業調査のポイントをお伝えし、次回は調査内容を元にした志望動機の立て方についてお伝えする予定です。
このような志望動機を構成するために、コンサルタントがよく使用する「問題解決のフレームワーク」を活用し、その企業の課題整理を行います。
課題整理を行うための情報源としては、その企業の3-5年先の目標を示す「中期経営計画」と、今年1年間の業績を示す「有価証券報告書」・「決算説明資料」を使用します。
いきなり聞き馴染みの無い言葉が出てきてしまいましたが、極力噛み砕いて説明していきますのでご安心ください。 難しそうだからと読むのを避けてしまう学生さんが多いからこそ、差をつけるチャンスでもあります。
※今回は上場している企業にのみ使える方法となっておりますが、非上場企業を受けられる場合にも、同業種の上場企業を代わりに調査することによって、その企業の状況を想像する助けとなります。
「実現したい目標や理想像に向けて、今後何をやるべきか明らかにしたい」と考えている時に使用するのが問題解決のフレームワークです。
以下に記載する項目に分けて情報を整理していくことで、今何が問題で、その問題にどう対処すれば目標に近づけるのか考えやすくなります。
・ 目標: 目指す状態
・ 現状: 現在の状態
・ 問題: 目標と現状の差分
・ 課題: 差分が生まれる原因
・ 解決策: 課題を解消して目標に近づくための施策
例えば、英語の点数を90点まで伸ばしたいという目標があったとして、現状が60点だとすると、差分の30点という数字が問題となります。
「じゃあ30点増やそう」と考えても、そのままでは何を勉強したら良いのか見えてきません。何を間違えたのか振り返って原因を掴み、自分が苦手なところを把握することで、「リスニングを勉強しよう」等と解決策が見えてくるはずです。
このような考え方を実際のコンサルティングの現場でも使用しますし、今回の企業調査でも使用していきます。
実際に図を書きながら情報整理をしていくことで頭の中が整理されていきますので、企業調査をする際に出てきた情報をどんどん図に書き出してみましょう。
企業調査のために、以下3つの資料を確認していきます。
① 中期経営計画
② 有価証券報告書
③ 決算報告資料
3分ほどあれば取得できますので、読みながら一緒に調べてみてください。
① 検索エンジンにて「企業名 中期経営計画」と検索していただくと、その企業のホームページの該当ページが表示されます。
企業毎に異なりますが、多くの企業ではPDFファイルとして掲載されています。
※全ての上場企業に公開の義務があるわけではないため、中には公開されていない企業もあります。
② 検索エンジンにて「企業名 有価証券報告書 その年の年度」と検索していただくと、その企業の投資家向けページが表示されます(IR情報と表記されていることもあります)。
企業毎に公開される時期が異なりますが、最新の有価証券報告書を選択してください。
決算短信や、四半期決算報告という資料も一緒に並んでいることがありますが、今回は最も内容が充実している有価証券報告書を使用します。
③ 有価証券報告書を選択する際に、同じページ内に「決算説明資料」や、「決算説明会録画」が公開されている場合があります。企業によって名前が異なることがありますが、その企業が投資家向けの説明会を開催した際のプレゼンテーション資料や、説明会の録画が確認できます。
※こちらの資料も中期経営計画と同様に公開の義務はありません。
中期経営計画には、主にその企業の3年~5年先の目標と、その目標に近付くための施策が記載されています。つまり、問題解決のフレームワークの「目標」と、「おおまかな解決策」が記載されています。「解決策」から、その企業の抱えている「課題」も推測することができますので、推測した内容も併せてメモを残しておきましょう。
【メモの記入例】
有価証券報告書と決算報告資料には、投資家向けに必要な情報が膨大に記載されています。
こちらの資料からは、主にその企業の「現状」と、「問題」、「課題」を読み取っていきます。
決算報告資料の方がプレゼン用に情報が取捨選択されているため、有価証券報告書よりも噛み砕いてわかりやすく表現されています。決算報告書を読んでから有価証券報告書を確認することをお勧めします。
有価証券報告書は200ページ前後ありますが、今回使用するのは前半の一部分になりますので、ご安心ください。
有価証券報告書の構成は全ての企業で統一されているので、今回は有価証券報告書の読み方のみをざっくりとお伝えします。
決算報告資料は有価証券報告書の内容が凝縮されたものでありますので、基本的には読み方は同じだとご認識いただければ問題ありません。
有価証券報告書で主に目を通すのは、以下のページとなります。
● 企業の概況
ー 主要な経営指標等の推移
ー 沿革
ー 事業の内容 ◎
ー 関係会社の状況
● 事業の状況
ー 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ◎
ー 事業等のリスク
ー 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
重要かつ、学生の皆さんが読みやすい項目に◎をつけています。
順番的には「主要な経営指標等の推移」が一番最初にきていますが、企業の決算を読み慣れていない状態でこれらの数字を見ても、どう読み解いたら良いのかがわかりにくいかと思います。
記載された順番に読み進める必要はありませんので、まずは◎をつけたページから読んでみてください。
先ほど作成したメモの「目標」「解決策」の内容を頭に残しながら、これらを読んでみると、その企業が向かおうとしている道のりの中で、今どのあたりにいるのかが見えてくるかと思います。
◎の箇所を読み終えたら、改めて上から目を通していってみてください。
ただ読むだけではなく、以下のような観点で疑問を持ちながら目を通し、読み取ったことをメモに残していきましょう。
・ 目標とする売上高、利益率、従業員数に到達しているか?何をして今の数字になったのか?
・ 沿革に記載されている直近の企業の動きと、その企業の目標にはどのような繋がりがありそうか?
・ 関係会社の状況の変化とその企業の目標にはどのような繋がりがありそうか?
・ 今の会社の課題を経営者はどのように捉えているのか?
・ それらの課題に対してどのように取り組む方針が立てられているのか?
【メモ記入例】
次回はこれらの企業調査から集めた情報を元に、志望動機を立てる際のポイントをお伝えしていきます。
読者の皆さんが、やりがいを持って働ける環境を見つけられることを願っております。
他の応募者と差をつける志望動機の作り方②は こちらから