こんにちは。カチメン!表情監修の清水建二です。
AI時代に通用する仕事術、今回で第四弾となります。
第一弾では部下を観察する重要性、第二弾ではチームのメンバーを観察する重要性、第三弾では身体を使う重要性について書きました。
まとめますと、「他者を観察し、他者に必要だと思われることを、自分の身体を動かして提供する」ということになります。
これがAI時代に通用する仕事術だと考えます。
この仕事術をどうすれば身につけられるのでしょうか?
これまでのコラムでも様々な科学知見やケースを通じて方向性を示して来ましたが、ここで、より包括的な視点から捉えなおします。
その視点とは、共感力です。
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共感力の種類 |
共感は大別して、認知的共感と情動的共感があります。
認知的共感とは、相手が今どんな気持ちで、何を考えているか推理して理解する力のことを指します。
いわば、頭でわかる共感です。
たとえば、同僚が無口になっていたら「嫌なことがあったのかも」「緊張しているのかも」と考えて、理由を想像するような共感です。
情動的共感とは、相手の感情に影響されて、自分の気持ちも動くことを指します。
いわば、心が一緒に動く共感です。
たとえば、同僚が悲しんでいると、自分も胸が苦しくなったり、悲しくなったりするようなことです。
この「心が動く共感」は、自己志向型か他者志向型かに分けられます。
前者は、相手の出来事をきっかけに感情がわくものの、注意の中心が自分のつらさ・自分の不安になりやすい共感のことを指します。
後者は、つらそうな相手に対して、同情・思いやり・助けたい気持ちがわきやすい共感のことを指します。
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「観察」と「行動」をつなぐ架け橋 |
では、なぜ共感力が「AI時代に通用する仕事術」につながるのでしょうか。
結論から言えば、共感力は「観察」と「行動」をつなぐ架け橋になるからです。
相手を観察しても、そこから相手の状態を推測できなければ、必要な手助けにたどり着けません。
逆に、相手の状態を推測できても、自分の感情が動かなければ「助けたい」「一歩動こう」という行動につながりにくい。
つまり、認知的共感は「気づきの精度」を、他者志向の情動的共感は「動く動機」を支えます(Qiaoら, 2025)。
ここで重要になるのが、表情です。
表情は、相手の状態を推測するときの強力なツールです。言葉では「大丈夫です」と言っていても、目元がこわばっていたり、口角が下がっていたりすることがあります。
そんなとき、「何もない」と決めつけずに、「不安があるのかも」「負荷が高いのかも」と仮説を立てられる人は、コミュニケーションの齟齬を減らせます。
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印象改善だけにとどまらない表情づくりの効果 |
もう一つ。表情を「読む」だけでなく、「つくる」練習にも意味があります。
表情をつくる練習は、自分の印象を改善し、メッセージに気持ちを乗せるためだけではありません。
自分の顔を動かすとき、呼吸が浅くなる、喉が詰まる、肩に力が入る、といった「身体の変化」が起こります。
こうした身体感覚とセットで学ぶと、相手の表情を見たときに「この感じは、こういう状態に近いかもしれない」と想像しやすくなる(cf. 内受容感覚の感受性)。
つまり、表情づくりは、情動的共感を支える「身体の足場」になり得るのです(Caninoら, 2024)。
最終的に目指したいのは、共感を「相手のニーズを満たす行為」に変換することです。
ここがAIとの差になります。AIは言葉で励ますことはできますが、会議後に水を取りに行く、代わりに必要なものを取って来る、資料を一緒に整える、ハイタッチで元気づける、握手して信頼を確認し合う、といった「身体を使った支援」はできません。
人間の強みは、観察→推測→心が動く→身体が動く、という一連の流れを現場で回せることです。
では、この力をどう鍛えるか。ここからは実践です。
次回のコラムでは、「表情を読み、つくるトレーニング」をします。
読む力で「気づきの精度」を上げ、つくる力で「身体の足場」を整え、最後に「相手のニーズを満たす一手」へとつなげていきます。楽しみにしていて下さい。
ではでは、実践を重ねて下さい。
参考文献:
Canino, S., Torchia, V., Gaita, M., Raimo, S., & Palermo, L. (2024). Linking the inner and outer mental representations of the body to social cognition skills: A systematic review and meta-analysis. Neuropsychologia, 204, 108989. https://doi.org/10.1016/j.neuropsychologia.2024.108989
Qiao, Y., Wang, Q., Yan, Z., Wang, Y., Yan, W., & Su, Y. (2025). Empathy and emotion recognition: A three-level meta-analysis. Journal of Pacific Rim Psychology, 19. https://doi.org/10.1177/18344909251345926 (Original work published 2025)