こんにちは。カチメン!表情監修の清水建二です。
ChatGPTをはじめとした生成AIを業務で活用することが、当たり前になりつつある今日この頃。就職面接の場でも、「生成AIに代替されない人材」を見つけ出すための質問が、今後増えると予測できます。そこで本日は、AI時代に通用する仕事術【マネジメント編】と題し、AIにはできないマネジメントについて考えたいと思います。
| ケースを通じて考えてみましょう |
あなたは、新企画推進プロジェクトチームのリーダーです。
チームメンバーに個々の業務の進捗状況を聞いていたところ、あるメンバーの仕事はスピードは早いものの、正確性に欠けると感じました。
改善点を指摘し、具体的に伝えようとしたところ…
「AIに聞くから大丈夫です」
と言われてしまいました。
せっかく、こちらが気を利かせて指摘しようとしたのに…と、残念な気持ちが湧いてきます。
とはいえ、確かにChatGPTに質問すれば、豊富な知識をもとに迅速に改善点を文章化してくれることでしょう。
しかし、ここで立ち止まってはいけません。チームをマネジメントする人間が、メンバーの特性に気づけなければ、あなたの存在価値は揺らいでしまいます。
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人間のリーダー、マネージャーの存在価値とは? |
それは、「あなたは気づいているものの、メンバーは気づいていない視点・盲点(cf. ジョハリの窓)を、適切なタイミングと方法で伝える」ということです。
AIに聞くことができるのは、「指摘してもらうべきこと」が明確にわかっている場合です。
逆に言えば、「指摘してもらうべきこと」がわからない状態では、プロンプトを書くことすらできません。
人は殊の外、自分のことは見えないものなのです。だからこそ、リーダーであるあなたの役割は、このメンバーの盲点を伝えることにあります。
そして、いつ、どう伝えるか?
たとえば、リーダーの伝え方とチームのパフォーマンスの関係を検証したVanら(2010)の研究がヒントになります。
Vanら(2010)は、144名を36チームに分け、怒りまたは喜びを示すリーダーが、タスク遂行中にフィードバックやアドバイスを与える状況を設定しました。
その結果、リーダーの感情表出は、チームの協調性によって効果が大きく異なることが明らかになりました。
具体的には、協調性の低いチームは怒りを伴うフィードバックに刺激されて成績が向上した一方、協調性の高いチームは怒りに負荷を感じ成績が低下し、喜びを示すリーダーからのフィードバックやアドバイスの方が高い成果につながりました。
つまり、「メンバーの性格やチームの雰囲気に応じて、アドバイスの仕方を変えることが大切」と言えます。
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それでも、人間のリーダーの存在価値はある |
百歩譲って、メンバーは何が問題か自覚しているものの、方法がわからない、これまでとは異なった方法を知りたい――こうした状態だとしましょう。
これならAIに聞けば答えがわかるかもしれません。
しかし、それでも人間のリーダー、マネージャーの存在価値はあります。
なぜなら、AIは平均的な回答、一般的な回答しかアウトプットしてくれないからです(AIをデザインした組織の意向が反映された、偏りのある回答がアウトプットされる問題もあります)。
毎年さまざまな風邪薬が開発・販売されるように、効く「薬」は人それぞれなのです。
誰にでも平均的に「効く」アドバイスをしていては、AIに負けてしまいます。
「このメンバーには、こんなアドバイスが効く」
「あのメンバーには、こうした言い方が効く」
こうしたことができるのは、リーダーが個々のメンバーをよく観察しているからに他なりません。
観察力と伝達力を鍛え、AIに代替されないリーダー力、マネジメント力を身につけられるようにしましょう。
ではでは、実践を重ねて下さい。
参考文献:Van Kleef, G. A., Homan, A. C., Beersma, B., & van Knippenberg, D. (2010). On angry leaders and agreeable followers: How leaders’ emotions and followers’ personalities shape motivation and team performance. Psychological Science, 21(12), 1827–1834. https://doi.org/10.1177/0956797610387438