こんにちは。カチメン表情監修の清水建二です。
本日のコラムは、「協調性と表情の関係」についてです。
新卒の方にとっても重要な内容ではありますが、特に第二新卒の方には必見です。
採用面接での質問内容は、新卒と第二新卒とで多少異なります。
中でも「離職理由」は、第二新卒の方に特有の質問です。
職場での人間関係が上手くいかない原因、実は自分のせいかも? |
大々的に公表されることはありませんが、人間関係が原因で離職するケースはよくあります。
ですので、それ自体が問題になるわけではありません。
ただし、チームで仕事をすることが多い現代において、「求職者本人が原因でチームワークが乱れるのでは?」と懸念される場合や、「チームでの仕事が苦手なのでは?」と感じられる場合、採用は見送られがちです。
自分はどうだろう?
──そんなふうに感じることはありませんか?
次の問題を通じて、確認してみましょう。
問題:
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回答と解説 |
問題1
唇が上下からプレスされ、口に力が入れられています。
これは、熟考か、怒り表情。
熟考なら他者が気づくレベルで顔に現れても問題なし。具体的には0.5~4秒くらい。
怒りなら他者の気分を害することを気にして、顔に現れないように抑制するハズ。
しかし、抑制しきれず一瞬の表情、微表情として現れてしまう。具体的には0.5秒以下。
問題1の表情は一瞬ですので、怒りの微表情です。
問題2
一瞬、鼻の周りにしわが寄り、上唇が引き上げられ、ほうれい線が釣り鐘型になっているのがわかります。
眉も下がっていますが、これは鼻の周りにしわが寄せられることで出来ます。
これは嫌悪の微表情です。
ネガティブな感情を正確に読みとれる人ほど、集団にうまく溶け込んでいる |
問題1及び2を間違えた方は、チームのメンバーと協調して仕事を進めるうえで、怒りと嫌悪の微表情を読みとれるようになることをおススメします。
なぜでしょうか?
あるインターナショナルスクールで、多様な文化背景を持つ学生たちを対象に、微表情を読みとるテストが実施されました。
この実験では、微表情の認識力と、学生がどれだけその集団に馴染んでいるかとの関係が調べられました。
実験の結果、怒りや嫌悪といったネガティブな感情の微表情を正確に読みとれる学生ほど、集団にうまく溶け込んでいることが分かりました。
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ネガティブな感情には、その人の「大切にしている価値観」が反映されている |
では、なぜネガティブな感情を読みとる力が「馴染む力」につながるのでしょうか?
それは、怒りや嫌悪といった感情が、その人の「大切にしている価値観」を反映しているからです。
例えば、怒りは不正や妨害に対して生まれ、嫌悪は不快に感じる対象に向けられます。
つまり、その人がどんなことを「許せない」と思うか、「嫌だな」と思うかを知ることで、その人の考え方や価値観が見えてくるのです。
人間関係が浅いうちは、相手の価値観を言葉だけで理解するのは難しいものです。
しかし、会話ややりとりの中で相手の怒りや嫌悪のサインに気づければ、「これをすると嫌がられるかも」「こういうことは大切にしているんだな」といった気づきが得られ、自然と配慮ができるようになります。
この積み重ねが、人間関係を円滑にし、集団に馴染む力につながるのです。
逆に、そうしたサインに気づけなければ、無意識のうちに他人の価値観を踏みにじってしまうことになり、周囲とのズレが生じやすくなります。
例えば、「上司は何をすると本気で怒るのか」「同僚はどんな冗談がNGなのか」「文化や宗教が異なる人にとって何が不快に感じられるのか」といったことを察する力は、社会人としての大切な資質の一つです。
動画を何度も観て、自分の表情でもマネしてみて、怒りと嫌悪の微表情に気づけるようになりましょう。
ではでは、実践を重ねて下さい。
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参考文献
Yoo, S. H., Matsumoto, D., & LeRoux, J. A. (2006). The influence of emotion recognition and emotion regulation on intercultural adjustment. International Journal of Intercultural Relations, 30(3), 345-363.